Workshop 03
白飛び撃退!
フィルムは耐える、デジタルは無理
そういう意味でフィルムは圧倒的にスゴい。色の鮮度を保ったまま「白飛び」するので、おかしくは見えない。
でもデジタルはダメ。白になる直前にヘンな色になってしまいます。青空はドぎつい水色に、赤いものはヘンな黄色に。また、エラく彩度が高くなるのでそこへ目が行っちゃうのです。これは何とかせねばなりません。
アンダーで撮って、家で露出を決める
撮影時に白飛びしてしまったら...どうにも修正できません。撮影後に液晶でチェックすることは、フォーカスが合っているか、ブレはないか...ともう一つ「白飛びがないか」です。
撮ったRAW画像はパソコンで読み込みます。これは「家に帰ってすぐ」やりましょう。実際の被写体の記憶があるうちにやらないと...どんな絵だったか思い出せなくなります。
自分が思う明るさになるまで被写体の露出を上げて、上がりすぎた部分を引っ込めて、jpegで保存すれば完了です。
もう、めんどくさいという方。Canonのカメラなら「D+(高輝度側・諧調優先)モード」、Nikonなら「アクティブD-ライティング」という便利な機能があります。
上記でいってるようなコトをカメラが自動でやってくれます。よほどのシーンでなければコレでだいたいはうまくいっちゃうんじゃないかと思います。
01/
撮るときはアンダーで
アンダー(露出を低く、暗く)で撮ると、うまく撮れてなくて不安かもしれませんが、ガマンしてアンダーで撮ります。
風景写真でシーンを引き立たせてくれるのは、遠くの空だったり、山々だったりします。ここが白飛びしていない写真を持ち帰りましょう。
あとから暗部を持ち上げるのでかならずRAWで撮影します。jpegじゃダメです。
本来の色というのは、色味+明るさのはずですが、デジタルの場合RGBの三原色に分解してそれぞれの明るさを合成して色味までを表現しています。
これがあまりよくなく...、RGBのどれか1成分だけが飽和(最大の明るさ)したあとさらに明るさを上げようとすると、RGBの輝度の比を保てなくなります。
すると意図せず「色味の変化」が起こってしまいます。アナログフィルムではこういうコトは起きませんが、デジタルではそうなってしまいます。
建物が真っ黒でとても不安です。でもこれであってます。
遠景の木々や空、柱に当たった光などがつぶれてません。これが大事。
02/
記憶を元に明るさを戻す
ここからはPhotoshop Camera Rawでの作業です。
被写体の明るさを記憶を頼りに戻します。露出を上げます。
このとき「記憶」がものすごく重要です。
――たしか門が赤くてキレイ。でも門の奥はまぶしくてよく覚えていない――、こういう情報です。
露出オーバーでツブれた部分を見て「あ、おかしい色...」と思えるか、これも重要だったりします。
世の中には、テレビやYoutubeの画像、SNSにアップされた写真など、白飛びしてあたりまえの映像が溢れかえっています。生まれたときから毎日のようにこういう映像を見ていると、この絵に慣れ親しんでしまって、そういう絵を見ても「おかしい」と思えなくなってしまいます。
Adobe Light Room、Canon Digital Photo Professional、Nikon Capture NX-Dでも同様の調整ができます。
地面や建物が、イメージしていた明るさに戻りました。
木々や空、柱の明るいところがツブれます。コレおかしく感じますか?
03/
ハイライトを下げる
「露出を上げて、ハイライトを下げる」これが基本の調整になります。
この「ハイライト」というのが微妙で、だいたい明るい成分をコントロールしているので、目で見ながら調整するしかないです。
ハイライトの調整で、おおまかには戻ってくる。
04/
このひと手間が効く
料理でもなんでもそうですが、仕上げのひと手間というのは品質に大きく影響するものです。面倒ですがやっていきましょう。
全体の上げ下げではどうにもならない部分を、手で追い込んでいきます。
Adobe Camera Rawには、色グループごとに「輝度(明るさ)」や「彩度(あざやかさ)」を調整する機能があります。これを使います。
調整する色グループを決めます。今回は、オレンジ(=丹塗りの柱)とイエロー、グリーン(=木々)とブルー(=空)です。
まず輝度を、オレンジ -17、イエロー -38、グリーン -28、ブルー -9としました。続いて彩度を、レッド +23、ブルー +14に上げました。このへんは好みです。
ただ、何でもかんでも上げすぎないように注意しましょう。
完成したらjpegに保存して完了です。